親を老人ホームに預けることを考えている人にとって、「よい老人ホームをみつけること」…はとても大切なミッションですよね。
そのためのひとつとして「老人ホームの見学」は欠かせません。
とはいえ、「見学って何に注意したらよいのだろう」…と悩むケースはわりと多いです。
この記事を書いているわたしは歯科医師です。
祖母の在宅介護を6年したあと、有料老人ホームを何件も見学したのち、入居を決めました。
普段は老人ホームで介護の必要な高齢者の歯の治療をしています。
毎日 Twitter(ありがたいことに1万人以上の方にフォローしてもらっています!)で医療と介護の情報を発信しています。
この記事では、老人ホームを見学するときに「見学者が注意するポイント 11選」を、「見学前」と「見学中」にわけて細かく紹介します。
この記事を読むと、老人ホームを見学しよう…と考えている人の、
・老人ホームの内情をしっかり知りたい
・見学時に注意するポイントをおしえてほしい
・資料では良さげな老人ホームだけど、大丈夫かな
という悩みが払拭されると思います。
関連記事 ▶︎「有料老人ホームの探し方・選び方」の流れを知りたい方はこちら
よい老人ホームは見学者も多く、すぐ埋まりやすいです。
老人ホームを見抜きたい…という人だけでなく、「騙されたらどうしよう」…と不安なかたもぜひご覧ください。
具体的なチェックリストはこちらの記事を参考にしてください ▶︎【必見:75項目】老人ホームの見学で使えるチェックリスト【モレなし】
■ 目次
老人ホームの「見学前」に注意するポイント
まず、老人ホームの「見学前」に注意するポイントを5つ紹介します。
①:予約(アポイント)は必ずとる
②:重要事項説明書をもらう
③:老人ホームの見学は2人以上で!
④:老人ホームの見学は1日3件が限界
⑤:質問を事前に整理しておく
すこし詳しく解説していきます。
①:予約(アポイント)は必ずとる
老人ホームの見学をするときは予約(アポイント)を必ず取りましょう。
基本的に、
・日にち
・時間
この2つを押さえれば OK です。
まれに、予約をせずに突然見学に行くパターンを見受けます。
断られる場合もありますし、見学できたとしてもゆっくり対応してくれるとは限りません。
メリットがないので、かならず予約するようにしましょう。
✔︎ ベストな時間帯は「平日の日中」
老人ホームを見学するときにベストな時間は「平日のご飯どき」です。
土日は平日に比べて見学の家族で混むことも多いです。
ご飯の様子を見学すると、「どんなご飯が出ているか」「今いる入居者の様子」を確認することができます。
今いる入居者の様子を確認するためには、レクレーションの時間もおすすめです。
②:重要事項説明書をもらう
見学のときに、重要事項説明書をもらう…というのは大切です。
重要事項説明書には「サービス内容」や「料金」、「会社の情報」「職員体制」などの重要な事柄が載っています。
「どのようなサービスを受けることができるか」「見学した実態と合っているか」を確認することができます。
まれに重要事項説明書を見せてくれない、出し渋る…などの事例を聞きますが、こういった老人ホームはオススメしません。
老人ホームでは必ず作成されているものなので、存在しない、見せない…ということはあり得ないからです。
重要事項説明書は見学前にもらえる施設もあるので、資料を請求するときにきいてみるのもアリです。
③:老人ホームの見学は2人以上で!
老人ホームの見学は2人以上で行くのがオススメです。なぜなら色々な側面から意見を言い合えるからです。
一人だと見落としがちなところも、 もう一人いると発見しやすいです。
・家族
・友人
このような信頼できる人と二人以上で見学しましょう。
どうしても一人でしかいけないという人も、いまは シニアのあんしん相談室 のような「見学に同行してくれる企業」もあります。(地方の場合はオンライン対応のところも)
プロの意見を聞けるので、見逃しを防ぎたい…という人にはおすすめです。
④:老人ホームの見学は1日3件が限界
色々な老人ホームを見たいという気持ちは分かります。
ですが、よほど体力に自信のある人以外は老人ホームの見学は1日3件が限界です。
なぜなら、見学は思った以上に体力を使うからです。
一回の見学ごとにかかる時間は1〜2時間。移動を含めると、3件まわると早くても6時間ほどはかかります。
またそれに合わせて、食事の時間やレクレーションの時間を見学すると、かなりハードスケジュールです。
見学を終わった後には「施設を選定する」という大切な作業があるので、見学だけで頭を使い切るわけにはいきません。
スケジュールは余裕を持って組むようにしましょう。
⑤:質問を事前に整理しておく
質問を事前に整理しておく…というのも大切です。
見学中はかならず「当日に気づいたこと」を質問したくなります。
見落としがないようにするためにも、「質問したいこと」は事前に整理しておきましょう。
「質問したいこと」は、
・希望条件
・見学時チェックシート
・老人ホームの資料
…を確認しておくと、自然とあぶり出されてきます。
それぞれ、
…で確認してみてください。
✔︎ 見学時は1秒もムダにしない
見学は「ナマの情報」を仕入れることのできる貴重な機会です。そのためにも「事前に知識を仕入れておく」…ことは大切です。
せっかく見学するのですから、事前に調べられる内容で時間を使うのはもったい無いです。
老人ホームの「見学中」に注意するポイント
つづいて、「見学中」に注意するポイントです。
⑥:見学のマナーを守る
⑦:メモする
⑧:施設の雰囲気を確認する
⑨:質問は何度でも
⑩:逆質問をする
⑪:老人ホーム側も見学者をみている
以上の6つです。
⑥:見学のマナーを守る
見学のマナーを守るようにしましょう。
見学する老人ホームは、すでに入居している利用者にとっては生活する場だからです。
たとえば、
・案内の人から離れる
・勝手に写真をとる
・大声を出す
…といった行為は、迷惑になるわけでは施設側に良い印象を与えません。
突発的に何か気になるようなことがあっても、案内してくれる人の確認をかならず取るようにしましょう。
⑦:メモする
メモを忘れてはいけません。
その場は覚えているようでも、人はシンプルに忘れます。記憶を頼りにするのは正確性に欠ける場合があります。
とくに、
違和感
新しい情報
..は必ずメモに残すようにしましょう。
「入居者の様子」「スタッフの印象」も、記録しておくとあとで見返すときに便利です。
✔︎ 写真・動画を撮るときは注意
メモだけでなく写真や動画を撮っておくと、臨場感のある記録を残すことができます。
とはいえ老人ホームは前述した通り「すでに入居しているひとのプライベート空間」なので、写メや動画には注意が必要です。
案内してくれている施設の人に必ず写真や動画に収めても良いか確認するようにしてください。
「ここでの撮影は遠慮してください」「人がうつらなければ大丈夫です」…などと教えてくれます。
⑧:老人ホームの雰囲気を確認する
見学する意味は「老人ホームの雰囲気を確認すること」と言っても過言ではありません。
文章や写真だけではわからないこともたくさんあるからです。
その中でも、
施設に入ったときに受ける印象
案内してくれる人への信頼感
事前に書いてあった人や設備に違いはないか
…は、見学しないと分かりません。
どんなに条件が揃っている施設でも「なんとなく嫌な感じ」…があったりします。
逆に、第2第3候補だった施設だったとしても、とても好印象を受けるパターンもあります。
感覚、大事です。
見学するときは、モレや見落としがないよう 見学チェックリスト を活用してください。
関連記事 ▶︎【必見:75項目】老人ホームの見学で使えるチェックリスト【モレなし】
⑨:質問は何度でも
質問は何度でもするようにしましょう。
老人ホームは終のすみかになる可能性があります。大切な住まいについて疑問があるのであれば何度でも質問するべきです。
私の実例として、
・身体状態が低下した時の対応
・車いすが必要になったときの対応
・外泊した時の食事の料金がかかるのか
…は何度も確認しました。
⑩:逆質問をする
老人ホームを案内してくれている人に逆質問してみるのはアリです。
疑問のモレを防ぐことができますし、本音を聞くことができたりもします。
具体的には、
・他に何か伝えておくことはありますか?
・この老人ホームのオススメのポイントはなんですか?
・ここに自分の親を預けたいと思いますか?
この辺りの質問をしてみる価値はあります。
⑪:老人ホーム側も見学者をみている
老人ホーム側も見学者を見ているということを忘れてはいけません。
老人ホームにとって見学者は見込み客でもありますが、その一方で「この人を安全に見ることができるか」という判断をしています。
そのためあまり理不尽な振る舞いや、無理な要求をしていると、それが原因で入居できない可能性もあります。
病状や介護状態だけでなく、経済力や家族の性格までも含めて、総括的に入居を判断されます。
入居の可否を決めるのは見学者側ではなく、老人ホーム側…ということを忘れないようにしましょう。
老人ホーム見学時のQ&A
案内してくれる人の目の前でメモはOK?
全く問題ありません。案内してくれる人も、なれている人が多いので大丈夫です。
事前に「都度メモしていいですか?」ときくとさらにスムーズです。
携帯にメモするときもその旨を伝えておくとよいです。
見学の回数は?
時間があれば何度見学しても構いません。とはいえ、一度で決める人もわりと多いです。
なるべくモレがないように見学しましょう。
どうしても気になる所があれば、もう一度見学に行くのはアリです。
私は実際に、
・時間帯を変えて見学する
・夜に外見だけでも見に行く
…をしました。
オンライン見学だけでOK ?
コロナウイルスやインフルエンザウイルスのような感染症が流行っている場合、オンライン見学は便利です。
感染リスクもなく、手軽に…施設内を見学することができるからです。
とはいえ、「実際の肌感覚」「周辺の環境」「老人ホーム内の気になる箇所」…はどうしても見落としがちになります。
感染症が流行っているような致し方ない時期は除いて、オンライン見学はあまりオススメしません。
やはり直接みる情報は、後々の後悔を消すことにつながります。
見学でわからないことはあるの?
見学しても分からないことはあります。
実際、
・夜間の様子
・1日の流れ
…などは一度の見学では分かりづらいです。
見学は生活の一部を切り取っただけの「断片的な情報」なので、すべてを判断することはできません。
これらの不安は「体験入居」することで確認することができます。(入居する方が感想を述べれる状態の場合)
見学で施設を絞ったら、体験入居することをオススメします。
まとめ:上手に見学して情報をあつめる
今回は老人ホームを見学するときに注意するポイントを「見学前」と「見学中」にわけて解決しました。
✔︎ 老人ホームの「見学前」に注意するポイント
①:予約(アポイント)は必ずとる
②:重要事項説明書をもらう
③:老人ホームの見学は2人以上で!
④:老人ホームの見学は1日3件が限界
⑤:質問を事前に整理しておく
✔︎ 老人ホームの「見学中」に注意するポイント
⑥:見学のマナーを守る
⑦:メモする
⑧:施設の雰囲気を確認する
⑨:質問は何度でも
⑩:逆質問をする
⑪:老人ホーム側も見学者をみている
これらを注意して見学することで、受け取ることのできる「情報の質」は大幅にアップします。
この情報をもとに、比較検討し、入居する老人ホームを絞り込んでいくことが「よい老人ホーム」に入居するための王道ルートです。
とはいえ、よい老人ホームはすぐ埋まってしまうので、スピード感をもちつつ判断するようにしましょう。
・老人ホームの内情をしっかり知りたい
・資料では良さげな老人ホームだけど、大丈夫かな
…という方が「よい老人ホーム」に出会うことができますように!
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