有料老人ホーム選びに失敗した…と思ったことはありませんか?
家族を有料老人ホームに預けている人が、
・思っていたのと違う
・お金がかかりすぎる
・老人ホームの対応が悪すぎる
…といった理由で、
選んだ有料老人ホームが失敗だったのでは…?と不満を抱くケースはわりと多いです。
そこでこの記事では、「有料老人ホーム選びに失敗した」と感じたらどうするべきか…をまとめて解説します。
・有料老人ホーム選びに失敗したときの対処法を知りたい
・今の老人ホームに抱えている不満や不安を解消したい
という方はぜひご覧ください。
有料老人ホームだけでなく、特別養護老人ホームやグループホームのような介護施設選びに失敗したかも…と思っている人もぜひどうぞ。
>> 「有料老人ホームの探し方・選び方」を知りたい方はこちら。
筆者は歯科医師です。
祖母の在宅介護を6年したあと、有料老人ホームに預けた経験があります。普段は老人ホームに訪問して、介護の必要な高齢者の歯の治療をしています。
毎日 Twitter(ありがたいことに1万人以上の方にフォローしてもらっています!)で医療と介護の情報を発信しています。
【有料老人ホーム選びに失敗したら】相談する → その結果で考える
老人ホーム選びに不安や不満を感じたら、
・相談する
・その結果で考える
…の流れが重要です。
相談した後に不満点が解消されれば OKです。もし解消されないときは、「そのまま住み続けるのか」「退去して引っ越すのか」を考えなければいけません。
【7つある】誰に相談すればよいの?
繰り返しですが、最初にすべきは相談です。
相談先は以下の7つです。
✔︎ 【7選】有料老人ホーム選びに失敗したら相談すべき窓口
①:施設ケアマネ・施設長
②:老人ホームを運営する会社の相談窓口
③:シルバー110番(高齢者総合相談センター)
④:民間の相談センター
⑤:市区町村の福祉課、福祉事務所
⑥:国民健康保険団体連合会
⑦:全国有料老人ホーム協会(加盟している場合)
すこし詳しく解説します。
①:施設ケアマネ・施設長
施設のケアマネ、施設長に不満や不安に思っていることを伝えましょう。
②:老人ホームを運営する会社の相談窓口
有料老人ホームによっては利用者の苦情やトラブルを受け付けるお客様相談窓口がある場合があります。
③:シルバー110番(高齢者総合相談センター)
電話番号「#8080」
各都道府県ごとに1つずつ設置されていて、相談料は無料です。
④:民間の相談センター
LIFULL介護・みんなの介護…のような民間の会社には相談センターがあります。無料で、わりと相談しやすいです。
たくさんの老人ホームの情報を持っているので、老人ホームの転居を考える場合にも心強いです。
⑤:市区町村の福祉課、福祉事務所
市区町村の福祉課や福祉事務所といった役所に相談することもできます。事実関係を聞いた上で苦情の内容に応じて問題解決に動きます。
明確な違反行為がない限り動かない場合もあります。
⑥:国民健康保険団体連合会
国民健康保険団体連合会は市区町村と国民健康組合が共同して作った組織です。
主に介護サービスに関する苦情を受け付けています。
⑦:全国有料老人ホーム協会
電話番号「03-3548-1077」
全国有料老人ホーム協会は有料老人ホームの利用者の保護と事業者の健全な発展のために作られた組織です。
いまの状態が正当かどうかの判断を第三者目線で回答してくれます。
※ それぞれの詳しい特徴は 入居後の老人ホームに不満や苦情があるときの相談窓口 7選 で解説しています。
【順番】相談する流れ
相談する流れは以下の通りです。
↓
「③・④・⑦」
↓
「⑤・⑥」
まずは老人ホームに直接相談して、(①・②)
その間に外部の民間組織から意見を聞き、(③・④・⑦)
それでも解決しないときは公的な機関に相談しましょう。(⑤・⑥)
複数の意見を聞くことができるので、選択肢が広がります。
【不信感の背景】老人ホームへの不満・不安を感じる理由を明確に
老人ホーム選びに失敗した…と感じる理由を明確にしましょう。
不満な点や不安なことをしっかり伝えなければ解決につながりません。
ざっくり二つに分けると
「老人ホームの対応」と「認識不足」
が多いです。
老人ホームの対応に関するもの
・スタッフの対応に不満
・施設側の対応に不信感がある
・ほかの入居者との関係が悪化トラブル
認識不足に関するもの
・思った以上にお金がかかった
・認知症が進行していられなくなった
・医療依存度が高くなり対応できなくなった
何に対しての相談なのかをしっかりと明確にしましょう。
契約書と重要事項説明書の内容は大事
有料老人ホームに入居する際に結んだ「契約書」と「重要事項説明書」の内容は本当に重要です。
これらに基づき有料老人ホームは運営されているからです。
例えば、職員の配置に不満があったり、急な値上げに不信感を抱いたとしても、これらが是正されるか…は契約書と重要事項説明書の内容次第によります。
逆をいうと、契約書と重要事項説明書に記載されていることを実践していない場合には、相談した後に是正される可能性が高いです。
相談する前に一度見直してみることをオススメします。
【言い方は冷静に】理不尽なクレームと思われるのは損
相談するときの言い方、伝え方には注意しましょう。
冷静に淡々と伝えるようにしてください。感情的になるのは損しかありません。
相手も同じ人間です。感情的に伝えられるのと冷静に伝えるのとでは、対応が変わってきます。
目的はあくまで「不満や不安に思うことを解決すること」で、決して「相手を屈服させること」ではありません。
万が一、老人ホーム側から理不尽な事を言われたとしても、一度持ち帰るなどして感情的にならないようにしましょう。
今後もつきあっていく可能性があります。間違っても人間性を否定しないようにしてください。
【相談後】不満が解消されないときは『再交渉・ガマン・退去』
相談後の結果は「是正される」「是正されない」のどちらか
相談した内容が是正されたり、改善されるかどうかはわかりません。相談する内容にもよるからです。
とはいえ、相談した後の結果は、「是正される」「是正されない」のどちらかです。
是正されればそれで OK ですが、是正されないときは
・再交渉する
・ガマンする
・退去(=転居)する
のどれかを選択することになります。
再交渉する
交渉する…という選択肢もあります。
ただしその際には明確な根拠が必要で、感情論だけでつけるとただのクレーマーになってしまいます。
ガマンする
我慢するのは家族も本人も..です。そこをどうとらえるか…が重要です。「仕方ない」のか、「やっぱり我慢できない」のか。
特に人間関係は難しいです。何より、ひとを変えるのは難しい…というか不可能なので、自分を変えるしかありません。
どうしてもガマンできないのであれば、退去の選択肢も考えなければなりません。
退去(=転居)する
退去はいつでもすることができます。
一般的には1ヶ月前までにいたいとの申し入れを行うことで、手続きに入ります。この際は次の行き先を決めてからの方がベターです。
老人ホームと聞くと待機者問題が注目されがちですが、実は退去や転居の問題も年々増加しています。
理不尽な要求は損でしかない
老人ホームの相談に限らず、理不尽な要求は通りません。
理不尽な要求を通してしまうと、公平性が保てなくなるからです。老人ホームの経営の危機といっても過言ではありません。
・絶対に転倒させるな!と要求する
・特定の職員をやめさせようとする
・私の家族だけ特別に扱うように要求する
老人ホームの受付で怒鳴り散らしていた家族や「市長と友達だぞ」と威圧していた高齢男性もいました。
先ほども説明したように契約書と重要事項説明書に基づいて、老人ホームは安全に運営されるように努力しています。
いくらお金を払っている側といっても、理不尽な要求は逆にハラスメントと捉えられる可能性もあります。
有料老人ホームの契約にはクーリングオフが利用できる
有料老人ホームを退去する場合90日以内であればクーリングオフを利用することができます。
つまり原則、全額返金されます。 (利用した日数の家賃や食費などは差し引かれます)
そのため「90日」というのは一つの目安になります。
それ以降の退去は、契約書に基づき入居金が初期償却されます。(※ 初期償却とは退去時に返金されない金額のことです)
そのため初期償却される費用を支払っている場合は確認が必要です。お金に関してはトラブルの元になりやすいので事前にしっかりとチェックしましょう。
退去したいけどできない
退去したいけどできない…というパターンもあります。
主に、
・金銭的な理由
・身体的な理由
です。
新たに契約するお金がなかったり、医療依存度が高く受け入れられる老人ホームが少ない…。
このような理由で、「退去したいけどできない」…場合は、「どうやって上手くやっていくか」を考えるしかありません。
参考:有料老人ホームの費用が払えなくなったときの末路【対処法あり】
つまり利用者が生活していくためには、いまのホームに協力は絶対に必要です。そのため、お互いの着地点を見つけていく…という前向きな切り替えが必要です。
✔︎ その間もできることはある
とはいえ、その間も転居先を探す…ということをあきらめる必要はありません。
金銭的な理由であればもう少し安い老人ホームを探してみる。
身体的な理由であれば医療体制の整った有料老人ホームや医療機関を検討することもできます。
受け入れがない…と諦めず定期的に老人ホームを検索するようにしてください。
【不満あり】有料老人ホーム選びに失敗したら…間違いを次に活かす
今回の記事をまとめます。
・老人ホーム選びに失敗したらまずは是正してもらうように相談する
・最初の相談先は有料老人ホームのケアマネと施設長
・民間の相談センターにもアドバイスをもらうのは有効
・それでも解決しなければ公的な機関へ相談する
その際の注意点としては、
・相談事が解決されるかどうかは契約書と重要事項説明書の影響が大きい
・冷静に悩みや不安を伝えると改善できる可能性が高まる
・是正されない場合は「ガマンする」か「退去する」のどちらか
・理不尽な相談や要求はやめましょう
…です。
理不尽な要求でなければ、誠実に対応してくれる老人ホームも多いので
・思っていたのと違う
・老人ホームの対応が悪すぎる
といった理由で「選んだ老人ホームが失敗だったのでは…?」と不安になっている方は、一度冷静に相談してみてください。
家族の思いを老人ホーム画が気づいていない可能性もあります。お互いに誤解だった…というパターンもありました。
もし不満や不信感が解消されず最終的に退去することになったとしても、「自分の中で譲れないポイント」がわかったことでそれを次に活かすことができます。
利用者がトラブルなく快適に過ごして欲しい…と願っているのは家族も有料老人ホームも同じです。
有料老人ホーム選びに失敗したと思っても、まずは相談してみてください。
今回は以上です!
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