「有料老人ホームってどんな所だろう?」…と思ったことはありませんか?
言葉は聞いたことあるけれど、実際にどんな所なのかわからない…そんな人も多いはず。
この記事を書いているわたしは歯科医師です。
普段は老人ホームで、介護の必要な高齢者の歯の治療をしています。
祖母の在宅介護を6年したあと、有料老人ホームに預けた経験があります。この経験をもとに書いています。
毎日 Twitter(ありがたいことに1万人以上の方にフォローしてもらっています!)で医療と介護の情報を発信しています。
この記事では、有料老人ホームに対して、
・どんな所なのか知りたい…
・どんなひとが暮らせるの?
・何をしてくれるの?
・どのくらいお金がかかるのかな?
・どんな暮らしなんだろう…
・ほかの老人ホームとの違いは?
…この様な疑問を持っている人にむけて、
・そもそも有料老人ホームとは?
・入居できる条件
・受けられるサービス
・かかる費用、料金
・1日のスケジュール
・他の老人ホームとの違い
…をわかりやすく解説します。
有料老人ホームについての概要をざっくり知りたい!…というひとは是非ご覧ください。
>> 「有料老人ホームの探し方・選び方」を知りたい方はこちら
有料老人ホームとは?【祖母を預けた孫がわかりやすく解説します】
有料老人ホームとはどんなところが気になる人のために、要点を押さえつつ概要ざっくり説明していきます。
有料老人ホームとは?どんなところ?
一言でいうと、有料老人ホームとは「高齢者向けの居住施設」です。
お年寄りが心身ともに健康で暮らせるように、生活援助のサービスも提供しています。
自立している人から介護の必要な方まで幅広く暮らしていて、個人の状態に合わせて食事や家事・健康管理・介護を受けることができます。
厚生労働省は、「食事の提供」「介護(入浴・排泄・食事)の提供」「家事の供与」「健康管理」のいずれかをサービスとして提供している施設を「有料老人ホーム」と定義しています。
【孫メモ】
私は祖母を自宅で介護していたのですが、認知症が進み自宅での介護が難しくなりました。
そのため特別養護老人ホームを探したのですが空きがなく、有料老人ホームに預けることになりました。
有料老人ホームの数
2022年の時点で有料老人ホームは全国に16,000施設。
約60万人の高齢者が生活する基盤となっています。
有料老人ホームは年々増加していて、事実2010年は全国に3,500施設しかありませんでした。10年で5倍近くになっています。
それぐらい高齢社会が進んできたということになります。
有料老人ホームの種類は3つ
有料老人ホームは以下の3つの種類の類型があります。
・介護付き有料老人ホーム
・住宅型有料老人ホーム
・健康型有料老人ホーム
有料老人ホームの種類によって提供されるサービス内容はさまざまです。
介護付き有料老人ホーム
・主に介護を必要とする高齢者が生活する施設
・施設の介護スタッフによって24時間介護サービスが提供される高齢者向けの居住施設
・特別養護老人ホームへの入居まちでの利用も多い
住宅型有料老人ホーム
・主に自立~要介護高齢者が生活する施設
・介護が必要になれば、外部の介護サービス事業者と別途契約が必要
・ケアマネジャーが常駐していることが多く、生活相談ができる
健康型有料老人ホーム
・身の回りのことを自分でこなせる、自立状態の高齢者が生活する施設
・介護が必要になると退去または転居(系列がある場合)しなければならない
・施設の数は全国で20件ほどと少ない(全有料老人ホームの0.1%)
【孫メモ】
最初は特別養護老人ホームを探しましたが、部屋がいっぱいでした。
そのため入居待ちのために、近場の介護付き有料老人ホームを選びました。
運良くスタッフさんにも恵まれ丁寧な介護をしてもらい、感謝しかありません。
有料老人ホームとはどんな人が住めるの?【入居する条件】
有料老人ホームの種類によって提供されるサービスは様々ですが、 入居できる条件というのも存在します。
主に、
・年齢
・収入
・介護度
・医療依存度
・身元保証人、引受人
に影響されます。
年齢【何歳から入居できる?】
ほとんどの有料老人ホームでは「60歳以上」から入居できることが多いです。
身体の状況によって60歳以下の方でも入居していることがありますが、ほぼ60歳以上〜です。
一番多い年齢層は80代です。
収入
どれくらいの収入(資産・貯金)があるかは入居する条件の一つです。
有料老人ホームとしては将来的に支払いできなくなるなどのリスクを極力減らしたいからです。
事前に貯金や資産をチェックする有料老人ホームもあります。
入居する側としても支払えなくなって追い出されてしまう…という事態を避けるためにも、きちんと資金計画を立てることが大切です。
参考:【結論:エンディングノート】認知症の祖母の資金を事前に確認できた話
介護度
どのくらいの介護が必要なのかによって受け入れられる有料老人ホームは異なります。
その人の状態によって
自立(自分でなんでもできる)〜寝たきり
まで様々だからです。
また、認知症の有無によっても、受け入れられるかどうかは変わってきます。
重い認知症のひとは、他の入居者との共同生活が難しいと判断され入居できない有料老人ホームもあります。
医療依存度
入居する人に医療処置が必要な場合は対応可能か確認することが必要です。
高齢になると持病抱えてることも多く、定期的な医療処置が必要になる場合があります。
とくに、
・透析
・酸素
・胃ろう
・気管切開
・中心栄養静脈
・痰の夜間吸引
・ペースメーカー
…への対応は有料老人ホームによって明確に線引きされていることが多いです。
これらの医療措置を必要とする場合は慎重に検討するようにしましょう。
医療依存度はダイレクトに命に関わります。
有料老人ホームは何をしてくれるの?【受けられるサービス】
有料老人ホームで受けられるサービスは主に以下の4つです。
・介護
・食事の提供
・家事の提供
・健康管理
介護
入浴・排泄・食事介助などの身体介護を受けることができます。
食事の提供
栄養バランスのとれた食事を、食べやすい形態で食べることができます。
家事の供与
洗濯・掃除などの家事サービスをうけることができます。
健康管理
血圧や脈を確認し、健康状態のチェックをうけることができます。
生活相談・趣味・レクレーションもある
上記の4つに加え、生活相談や趣味なども行うことができます。
悩みの相談やレクレーションサークル活動などが行われている有料老人ホームが多いです。
✔︎ 有料老人ホームの種類によって受けられるサービスが異なります
「介護付きの有料老人ホーム」であれば4つ全て受けることは可能ですし、「住宅型有料老人ホーム」であれば介護以外の3つを受ける…ということになります。
有料老人ホームっていくらかかるの?【費用 / 利用料金の話】
有料老人ホームの費用
有料老人ホームの場合は一概に料金を言うことができません。有料老人ホームごとにまったく異なる料金だからです。
それでも、おおよその目安はあります。
✔︎ 有料老人ホームの費用の目安
有料老人ホームの種類 | 入居一時金 | 月額利用料 |
介護付き | 0〜1億円以上(平均350万円) | 10〜100万円 |
住宅型 | 0〜100万円(平均80万円) | 10〜50万円 |
健康型 | 0〜100万円(平均80万円) | 10〜40万円 |
受診や入院などによる医療費は別途かかります。
通信費や消耗品費、イベント参加費など別途かかることがあります。
関連記事:【実例あり】有料老人ホームにかかる費用を介護経験者がシンプルに解説する
支払い方法
有料老人ホームの支払い方法には、
・全額前払い方式:全額前払い
・入居一時金方式(一部前払い方式):一部を前払いして残りを月々支払う
・月払い方式:前払いなしの月払い
…があります。
下にいくほど、月額利用料の負担は大きくなります。
【孫メモ】
祖母の場合は「入居金方式」を利用して、一部を前払いにして月の払いを少し抑えることにしました。
年金でかなり賄えたため、ほとんど持ち出しがなく生活することができました。
参考:有料老人ホームに入るならいくらあれば大丈夫?【目安は3,950万円です】
入居したらどんな暮らしなの?【1日の流れ】
1日の流れはわりと忙しい
祖母が入居していた有料老人ホームの1日の流れを紹介します。
6:00 起床
7:00 朝食
9:00 体操
10:00 入浴(週2回)
11:30 昼食
13:00 レク(映画・折り紙など)
14:00 リハビリ(週2回)
15:00 おやつ
17:30 夕食
21:00 就寝
夜間〜朝:職員による見回り
割と忙しいイメージがあります。
有料老人ホームは「自分の部屋」と「共同スペース」にわかれていて、バリアフリーな空間で規則正しい生活を送ることができます。
この間に家族が面会することもできます。
面会時間は時間を決めているところもあれば、24時間対応しているところもあります。
【孫メモ】
祖母はレクリエーションの中でもカラオケを楽しみにしていました。
リハビリにも汗をかいていて、体が動く間はわりと充実した暮らしをしていました。
入居までの流れ
有料老人ホームに入居するまでの流れは以下のとおりです。
・情報を集める
・見学する
・体験入居する
・申し込む
・契約する
まずは「地域包括センター」「ケアマネージャー」「老人ホーム検索サイト」「雑誌」を利用して、有料老人ホームの情報を集めます。
ここで、予算・立地・施設の特徴…などから施設を絞り込み、資料を請求します。
その後、見学と体験入居を経て、契約します。
見学と体験入居はしなくても契約できますが、後々「こんなはずじゃなかった…」となるリスクをへらすため、面倒でもやっておくのがオススメです。
参考記事:【5ステップ】有料老人ホームに入居するまでの流れ【正しい入所の手順】
入居までは約1〜2ヶ月ほどの期間がかかることが一般的です。
他の老人ホームと有料老人ホームの違い
高齢者が生活できる施設は有料老人ホーム以外にも、代表的なものだけで、
・特別養護老人ホーム(略称:特養)
・介護老人保健施設(略称:老健)
・グループホーム
・サービス付き高齢者住宅(略称:サ高住)
・軽費老人ホーム(別名:ケアハウス)
があります。
…このように「老人ホーム・介護施設」と呼ばれる施設はたくさんあります。
特別養護老人ホーム(特養)と有料老人ホームの違い
特別養護老人ホーム(略称:特養)は有料老人ホームと比較して、
・基本的に要介護3以上の人でないと入居できない(有料老人ホームはこの区別がない)
・月額費用8万〜15万と比較的安い(入居一時金もない)
・満員ですぐに入居できないことも
…といった特徴があります。
私の祖母もそうでしたが、特別養護老人ホームの入居まちで有料老人ホームを利用する人も割といます。
介護老人保健施設(老健)と有料老人ホームの違い
介護老人保健施設(略称:老健)は有料老人ホームと比較して、
・病気からの在宅復帰を目指す公的な施設
・月額費用8万〜13万と安い(入居一時金もない)
・入居期間が3〜6ヶ月と短い
…といった特徴があります。
入院後のリハビリを行う場合には利用したい施設です。
グループホームと有料老人ホームの違い
グループホームは有料老人ホームと比較して、
・5〜9人の少人数での共同生活
・入居者同士で家事を分担して生活する
・初期費用は数十万円、月額利用料は20万以内
…といった特徴があります。
認知症の人でも、そのひとの能力を生かしつつ生活していくスタイルです。
サービス付き高齢者住宅(サ高住)と有料老人ホームの違い
サービス付き高齢者住宅(略称:サ高住)は有料老人ホームと比較して、
・部屋の広さが広い(サ高住は25㎡以上、有料老人ホームは13㎡以上)
・比較的自由度の高い生活を送れる
・寝たきりになると対応できないことが多い
….といった特徴があります。
自立している人に向けた、食事付きの賃貸マンションとしての位置付けです。
軽費老人ホーム(ケアハウス)と有料老人ホームの違い
軽費老人ホーム(ケアハウス)は有料老人ホームと比較して、
・収入が低く、家族からの支援を受けられないひとが優先
・初期費用は数十万円、月額利用料は20万以内
・入居待ちの場合も多い
….といった特徴があります。
身体的、経済的に不安を感じている人が生活支援を受けられます。
まとめ
シンプルにまとめると、有料老人ホームとは
お年寄りが心身ともに健康で暮らせるように、生活援助のサービスを提供してくれる高齢者向けの居住施設
です。
さらに今回は、
・有料老人ホームはどんなところか
・入居できる条件
・受けられるサービス
・かかる費用や料金
・一日のスケジュール
・他の老人ホームとの違い
…をなるべくわかりやすく解説しました。
有料老人ホームってどんな所なのか知りたい…と思っている人がざっくりとでもイメージできたら嬉しいです。
有料老人ホームの環境は、実際に入居する人だけでなく、その家族にも大きな影響を与えます。
あなたに合った老人ホームが見つかりますように。
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