有料老人ホームにかかる「費用」に漠然とした不安を抱いていませんか?
この記事では、
・最近親が弱ってきて心配
・資金計画を立てて準備したい
・介護による心身の負担を減らしたい
・特別養護老人ホームは入居待ちらしい…
・有料老人ホームに預けた経験者の話を聞きたい
このような理由で、有料老人ホームの入居をすこしでも検討している人に向けて、
・有料老人ホームでかかる費用
・料金の支払い方式
・住んでいる地域の有料老人ホームの費用を調べるやり方
・有料老人ホームの費用に関して注意すべきこと
…をなるべくシンプルに、わかりやすく解説していきます。
この記事をよむと、有料老人ホームの「費用」に関する不安を払拭することができます。
>> 「有料老人ホームの探し方・選び方」を知りたい方はこちらをどうぞ。
この記事を書いているわたしは歯科医師です。
祖母の在宅介護を6年したあと、有料老人ホームに預けた経験があります。
普段は老人ホームで介護の必要な高齢者の歯の治療をしています。
毎日 Twitter(ありがたいことに1万人以上の方にフォローしてもらっています!)で医療と介護の情報を発信しています。
【実例あり】有料老人ホームにかかる費用を介護経験者がシンプルに解説する
有料老人ホームの費用はピンキリ【目安あり】
身も蓋もない話ですが、有料老人ホームの費用はピンキリです。
住んでいる地域、介護度(どのくらい介護が必要か)、建物の新しさ、設備…などの様々な要因に影響をうけるからです。
そのため、かなり振れ幅があります。ざっくりとした目安は次のとおりです。
✔︎ 有料老人ホームの費用の目安
有料老人ホームの種類 | 入居一時金 | 月額利用料 | 一時費用 |
介護付き | 0〜1億円以上 | 10〜100万円 | 5〜15万円 |
住宅型 | 0〜100万円 | 10〜50万円 | 0〜10万円 |
健康型 | 0〜100万円 | 10〜40万円 | 0〜10万円 |
これだとざっくりすぎですが、費用についてもう少し深掘ることができます。
有料老人ホームは3種類の類型に分かれる
有料老人ホームは「介護付き」「住宅型」「健康型」の3種類の類型にわかれます。前者の方が介護度が高く、自力での生活が難しいひとが入居します。
料金の設定も、低価格な有料老人ホームもあれば高級な有料老人ホームもあります。
くわしくは有料老人ホームとは?【どんなところ?/ 祖母を預けた孫がわかりやすく解説します】で解説しています。
入居一時金
老人ホーム特有の概念。前払い家賃と同じです。多めに支払うことで月額費用が安くなります。
入居一時金は0円の有料老人ホームもあります。
月額利用料
その名の通り、毎月支払う費用です。毎月の家賃と同じです。
食費、介護サービス費用(介護付きのみ)…が含まれます。
一時費用
毎月、月額利用料以外に一時費用がかかることがあります。
一時費用には医療費、薬代、介護保険自己負担分…のようにその都度費用が発生するものが該当します。
該当する項目は老人ホームによって違うので、事前に資料を確認することが必要です。
有料老人ホームの費用の平均値
最初に紹介した費用だとあまりにざっくりしています。そこで平均値も確認してみましょう。
全国の平均を知ることで、目安を絞りこむことができます。
✔︎ 有料老人ホームの費用の平均値
有料老人ホームの種類 | 入居一時金 | 月額利用料 | 一時費用 |
介護付き | 350万円 | 23万円 | 8万円 |
住宅型 | 80万円 | 14万円 | 5万円 |
健康型 | 80万円 | 14万円 | 5万円 |
これだと、一定の基準にはなりそうです。
有料老人ホームの「費用」に影響を与えるもの
紹介したように、有料老人ホームの費用にはバラつきがあります。
様々な要因が影響を与えているからです。
・住んでいる地域
・設備
・介護度
・医療依存度
・居住期間
・支払い方法
・償却率
つまり、
・住んでいる地域や設備といった「環境」によるもの
・介護度や医療依存度、居住期間といった「状態」によるもの
・支払い方式や償却率といった「契約」によるもの
これらによって、有料老人ホームの費用は大きな影響を受けます。※ 償却率については次の「支払い方式」で解説します。
有料老人ホームの費用の支払い方式
有料老人ホームの費用の支払い方式【3パターン】
有料老人ホームの費用の支払い方式は以下の3パターンです。
・入居一時金(前払い)方式
・月払い方式
・選択方式
払い方によって、月額の費用が変わってきます。
入居一時金(前払い)方式
家賃相当額の一部または全額を前払いして、残りを支払っていく方式。
一時金は償却されていきますが、一定の期間内に解約すると返還金が受け取れます。
月払い方式
前払い金は納めずに、家賃分を毎月支払います。
入居一時金方式に比べて、月々支払う料金は高くなります。
選択方式
「入居金一時金方式」か「月払い方式」のどちらにするかを選択できます。
実際に有料老人ホームや介護施設のパンフレットを見るとわかりますが、このような選択方式も増えてきました。
償却とは?
入居一時金として前払いしたお金は、一気に老人ホームの利益になるわけではなく徐々に利益になっていきます。
これを償却と呼びます。
例えば、入居一時金を払った直後に亡くなった場合、全額は没収されずに前払いした入居一時金の一部は返還されます。
有料老人ホームによって償却の方法や率はちがうので、事前に確認することは大切です。
支払う方法は?
口座引き落とし(=口座振替)のところが多いです。
ホームを利用する側にとっても、
・しっかり履歴が残る
・決まった日に引き落とされる
・毎回銀行にいく手間が省ける
といったメリットがあり、
有料老人ホーム(介護施設)側としても
・お釣りが不要
・未回収のリスクが減る
・本人が認知症で毎月払うのは難しい場合も対応できる
…といった利点があります。
口座からの自動引き落としの手続きまでには数ヶ月かかることがあり、その間は振り込む必要があります。
クレジットカード払いに対応する施設も、少しずつですが増えてきました。
他に銀行振込や現金納付などの支払い方法もありますが、基本的には口座引き落としです。
参考:有料老人ホームの費用が払えなくなったときの末路【対処法あり】
祖母の場合の費用・支払い例
祖母の入居した有料老人ホームは入居一時金300万円で、月額利用料17万円でした。さらに一時費用として、毎月2万〜10万かかりました。
一時費用に幅があるのは認知症が進んで介護費用が上がったり、入院して医療費が上がる月があったからです。
有料老人ホームで2年間(24ヶ月)生活したあと、特別養護老人ホームに転居しました。
退去したとき、入居一時金は150万円ほど返金されました。
償却による返金額の計算方法
少しだけ難しい話をすると、返金額は
で表すことができます。
祖母の場合は、
・初期償却率(いつ退去しても返還されない額)10%
・償却期間(徐々に老人ホームの利益になっていく期間)60ヶ月
と設定された有料老人ホームで生活していました。
このまま計算式に当てはめると、
300万 ×(1 - 0.1) ×(60 - 24)÷ 60
つまり「160万円」。
※ 0.1は10%。24は入居期間(2年)を月であらわしたもの。
最終的に、諸経費や手数料が引かれて約150万円が返金されました。
住んでいる地域の有料老人ホームの費用を調べる方法【相場をしる】
結論:老人ホーム検索サイトを活用する
住んでいる地域の有料老人ホームの費用を調べるためには、
老人ホーム検索サイトを活用する
が近道です。
検索サイトをつかわず、一件一件連絡して確認する方法もありますが、かなりの手間がかかります。
有料老人ホームをさがすときに検索サイトは「LIFULL介護」「シニアの相談室」「全国有料老人ホーム」の3つがオススメです。
関連記事:有料老人ホームを探している人にオススメの介護施設検索サイト 3選【比較】
今回は、以前に祖母の入所時したときにわたしが利用した LIFULL介護 (旧HOME’S介護)を参考に具体的な調べ方を紹介します。
手順は簡単で、
…だけです。以下が実際の画面です。
LIFULL介護の公式ページから「エリアから探す」 → 「住んでいる都道府県」
LIFULL介護 の 公式ページ にアクセスして、「エリアから探す」 → 「住んでいる都道府県」をクリック
「希望条件を設定」→「検索する」
「希望条件を設定」して画面下部にある「検索する」をクリックします。
希望条件は、
・費用
・医療体制
・感染対応
・オンライン見学の可否
…など細かく設定できます。費用以外にもこだわって検索可能です。
「その他フリーワード」でも検索できるので、希望条件に合わせてとにかく絞り込むことができます。
費用が表示される
老人ホームの入居費用と月額費用が表示されます。あとはチェックするだけです。
「もっと詳しく見る」をクリックすると、老人ホームの特徴がわかります。
便利な機能でさらに効率よくチェックする
さらに便利な機能として、
・検討リスト
・地域ごとの相場チェック
があります。
検討リストを活用するともっと便利
気になった老人ホームを検討リストにいれておくと、あとで簡単に見返すことができます。
詳しい支払い方法は資料請求や電話で問い合わせもできます。
関連記事:介護施設検索サイトをつかって老人ホームの資料請求をしてみた【体験レビュー】
地域ごとの相場チェック
地域ごとの相場も簡単に調べることができます。
トップページの真ん中よりやや下にある「老人ホームの料金相場を調べる」をクリックすると、
…以下のように、都道府県ごとの相場を知ることができます。
費用の基準になるので、損をしたくない方は一度チェックしてみてください。
費用はトラブルになりやすい原因のひとつでもあります。
そのため、
相場を知る
↓
老人ホームごとの資料を確認する
↓
比較・検討する
↓
見学する
という流れはとても大切です。
老人ホームを選びに失敗したくない方は、ぜひ老人ホーム検索サイトを活用してみてください。
有料老人ホームの費用に関する注意点
平均的な介護期間は?
平均的な介護期間は約10年と言われています。
男女共に、平均寿命から健康寿命(健康で日常生活を送れる寿命)をひくと約10年になります。
ですが個人差があるので、期間や費用の完全な予測は難しいです。
医療費控除は使えるの?
医療費控除とは1年間(1月1日から12月31日)で支払った医療費の合計が一定額を超えると、所得税が還付される制度です。
老人ホームで生活していても、医療サービスを受けた場合に対象となります。
・医療機関の診察費用
・通院のための交通費
・入院費用
・薬代
医療費控除は領収書を提出して、確定申告をする必要があります。
夫婦での二人入居では費用は倍?
個室をそれぞれを利用すると費用は倍になることが多いです。
夫婦での二人入居が可能な老人ホームの場合、二人用の料金設定がされていることがほとんどです。
この場合は個室をそれぞれ利用するよりも、二人部屋を利用した方が費用負担が少なくなります。
生活保護を受給しているひとでも入居できる?
生活保護を受給している人でも入居できる有料老人ホームはあります。
20%ほどの有料老人ホームが生活保護用の料金体系を設定しています。
とはいえ、現実的には特別養護老人ホームや軽費老人ホーム(ケアハウス)の方が、費用の心配をすることなくできます。
まずは担当のケースワーカーさんに相談しましょう。
有料老人ホームは高すぎる…と感じたら
有料老人ホームは高すぎる…と感じる場合は、
・資金計画を見直す
・費用の安い有料老人ホームを探す
・他の種類の老人ホームを探す
…必要があります。
詳しくは 有料老人ホームに入るならいくらあれば大丈夫? で解説していますが、有料老人ホームで生活していくためには人によって数千万円のコストがかかります。
そのため資金計画は重要です。特に親の貯金や資産はしっかり把握しておきたいところです。
どうしても資金が足りない場合は、費用を下げたり、特別養護老人ホームやケアハウスを検討することも必要です。
参考:【月額10万円以下も】相場より安い有料老人ホームを見つけるコツ
現実問題、費用がなく自宅で介護している人も多いのは、これからの日本の大問題です。
まとめ:有料老人ホームにかかる費用を介護経験者がシンプルに解説した
この記事では、有料老人ホームにかかる「費用」に不安を抱いている方に向けて、
・有料老人ホームの費用は「入居一時金」「月額利用料」「一時費用」の3つ
・住んでいる地域や介護度、立地などによって費用はピンキリ
・平均は介護付き有料老人ホームで入居一時金350万、月額費用23万円、一時費用8万円
・支払い方法は入居一時金(前払い)方式、月払い方式、選択方式がある
・具体的な費用は老人ホーム検索サイトを活用すると便利
…という内容を解説してきました。
有料老人ホームの費用は死活問題だけでなく、トラブルにも発展しやすいとてもセンシティブな事柄です。
面倒に巻き込まれないためにも、
・資金の計画をしっかりたてる
・老人ホームごとに費用の詳細を確認する
・他の老人ホームと比較する
…ことをオススメします。
介護は時間との勝負です。少しの手間が大きな面倒を防ぐことにつながります。
いますぐ行動してみてください。
この記事を読んだ人が有料老人ホームの費用に関する不安が少しでも払拭されますように!
今回は以上です。
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